
「FIVウイルス抗体検査で陽性反応が出た」=「エイズの猫」=「長生きしない」と思っていませんか?それは大変な誤解です!
猫とFIVウイルスは十分共生していく事が可能なのです。
「猫エイズなんて怖くない!」は、FelisCatus(フェリス カトゥス)の蘭子さんが執筆されたFIVについてのテキストです。蘭子さんに許可を頂いて掲載させて頂いています。少し長い文章ですが、是非是非読んで下さい。
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FelisCatus里親募集内(※)にて、このページ(獣医療予備知識)を書こうかどうしようかとずっと迷っていたのですが、間違ったままの知識が普及する中で、猫エイズキャリアーと確定診断を受けた事が里親募集を行う上で大きなハンディとなってしまうのならば、それはあまりにも不幸な事であると思いますし、また、猫と暮らしていく上で、これから家族に迎えようとしている猫と云う種族には、どんな種類の疾病があるのか、そしてその疾病とはどんな性質を持った病気なのか、さらに、猫医療への知識を深めて頂く事をも願い、そんな思いで、このページを書く事に致しました。
ご参照頂けましたらこの上ない幸せです。
世間で最も多く勘違いされている事、それは、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズキャリアー)と猫後天性免疫不全症候群(猫エイズ)とは別の病態であるのに関わらず、同じ病気だと思われている事です。
そして、同じ病気だと思われているがために、抗体検査で抗体が検出された時点で、猫後天性免疫不全症候群(猫エイズ)を発症していないのにも関わらず、「猫エイズの猫」と思われているようです。
猫免疫不全ウイルスとは、1987年カリフォルニア大学のN.C.Pedersenにより初めて報告された猫のウイルス感染症で、レトロウイルス、レンチウイルス亜科、非対称形のRNAウイルスです。
「猫エイズ」という病名を聞いた時、多くの方が大きな精神的ショックを受けられると思いますが、そのショックとは正反対に、猫免疫不全ウイルスの性質は全然怖いものではありません。
簡単に言えば、ストレスをかけると口内炎や風邪を引きやすくなる、という風に考えてください。伝染力もあまり強くありませんので、猫同士が噛み合うほどの事でもなければ伝染しません。
猫免疫不全ウイルス感染症はステージ1からステージ4の四期からなり、人間のエイズと同じ種類の良く似た抗原(猫免疫不全ウイルス)によって後天性免疫不全が起こされるわけですが(念の為注釈/猫免疫不全ウイルスは人間には感染しません)、猫エイズは病気の進行がステージ1からステージ4へと長い年数をかけて進行し末期となりますが、ステージを移行し末期となる、という事が、人エイズと似ているだけで滅多に進行しません。
かなりの長い年数をもって、各々のステージに留まりますので、本来は生きている間に発病する可能性は殆どないのです。
ステージ1とは、感染後の急性期で、感染後、急激にウイルスが増殖活動を活発に始め、本猫の免疫が失われる時期です。
そして、過去に何らかのウイルスに感染している場合は、免疫が失われる、すなわち抗体価が下がる事によって、その症状がぶり返します。
つまり、過去にヘルペスウイルスやカリシウイルス等に感染して保菌猫になっていた場合その症状がぶり返すという事ですね(普段は抗体価が維持され封じ込めているのです)。
何の抗体も持たない生後間もない何のウイルスからも暴露を受けていないような猫ではこの時期にすでに末期の症状が見られます。
このステージ1である急性期はステージ4である、猫エイズの状態(発病)よりもウイルスが上昇し、免疫力が失われる時期ではありますが、大抵の場合大人猫であれば充分乗り切る事が出来ます。
そして、この時期は、風邪を引いたとか目脂が出るとか、食欲不振であるとか、微熱程度の熱があるとか、その程度の症状しか出ないはずです。
この時期にたまたま検査を受けた所、抗体反応が出た場合、獣医師さんも飼い主さんも大騒ぎになりがちですが、この時期に絶対過剰医療は禁物です。本猫は一生懸命身体の中で抗体を作っている所なのです。安静に過ごさせてあげる事が一番です。大抵の場合(特に大人猫は)、猫は自力でステージ2へと進行するだけの力は持っています。
そしてこの急性期は長くともまず6ヵ月以内に治まります。
それから何年にも及ぶステージ2が始まり(ステージ2/無症状の潜伏期)、ステージ3は口内炎が出来やすくなる長期の時期(ステージ3/後天性免疫不全症関連症候群)、猫の寿命を考えればステージ4が始まるまでには老衰も始まっている、という事になるのですね。(ステージ4/猫エイズの状態(ここで初めて「猫後天性免疫不全症候群(猫エイズ)」という病名に変わります。)
だから生きている間に発病する事は殆どないのです。
猫免疫不全ウイルスは人免疫不全ウイルスと違って、こんな特徴があります。
「すでに何らかのウイルスの抗体を僅かでも持っている猫が、猫免疫不全ウイルスに罹患した場合、何故か各々のステージに通常よりも長く留まる」。
そして「多種のウイルスを持っていれば持っているほど、ステージは長い」と考えらます。
猫免疫不全ウイルスと上手に付き合うにはここが重要なポイントです。
通常、大人の猫の場合各種ウイルスにすでに感染している可能性が殆どでしょう?
そして即死しない事からまず発病しないと考えて良いほどの病気なのですね。
ただし、猫免疫不全ウイルスに感染した猫が一番気をつけなければならないのは、猫免疫不全ウイルス感染後に「ヘルペス」に感染するのを避けなくてはなりません。
何故なら各ステージに留まる期間が短縮されるからです。
不妊手術は出来るだけ安全な時期に入ってから初め(厳密に言えばステージ2の初め)に受ける方が良いとも思います。(FIPVの場合は、麻酔で進行を早めたり発症したりしますが、猫免疫不全ウイルス感染症は安全な時期に入ってからならまず大丈夫です)
しかし、非常に残念な事に、多くの場合の発症原因が過剰医療へのアレルギーによるものです。
猫は自己の免疫がとても強い個体種ですから、それゆえにアレルギーを起こすのです。
それにより進行を早め発症し不幸な結果を招いているのです。
猫免疫不全ウイルスは猫の他の2大ウイルス(猫白血病ウイルス・猫伝染性腹膜炎ウイルス)よりも、ずっとずっと扱いやすく付き合いやすいウイルスです。
その事がもっともっと飼い主さんや獣医師さんの中でご理解頂き、彼らを1日も長く長生きさせてあげて欲しいと切に願っています。
どの病気に限らず、敵(病気)を充分に見据える事により、少しでも上手く付き合う事が可能なのです。
そして幸運にも、猫免疫不全ウイルス感染症の場合は充分天寿を真っ当する事が出来るのです。
どうか猫免疫不全ウイルス感染症という疾病に何卒深いご理解を心よりお願い致します。
そして、彼らが愛して止まない飼い主さんの傍で、飼い主さんと一緒に幸せになられる事を心から願い祈ります。
FelisCatus(フェリス カトゥス)蘭子
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